メルカリ規約改定：あなたは事業者？Shops利用の必要性解説

メルカリは、誰もが気軽に不用品を売買できる「C2C（個人間取引）」のパイオニアとして成長してきました。しかし、取引量の増加に伴い、個人取引に見せかけた事業活動（B2C）が増加したため、プラットフォームの役割を明確に分ける必要が生じました。

2025年9月に施行される「事業者による登録禁止」は、この役割分担を明確にするための大きな一歩です。この変更の目的は、個人利用者を規制することではなく、事業活動を専用の「メルカリShops」へ誘導し、全てのユーザーにとってより透明性が高く、安心安全な取引環境を整備することにあります。

この発表は、断捨離や自宅の整理を目的とした一般の利用者にはほとんど影響がありません。 ただし、継続的に利益を求めて販売している方は、これを機にメルカリShopsへの移行を強く検討する必要があります。

メルカリが発表した「事業者登録禁止」の真の目的
1. 法令・税務上の透明性確保（コンプライアンスの強化）
2. C2Cプラットフォームの「安心感」維持
最も重要な判断基準：個人出品と事業的出品の決定的な違い
1. 個人出品（メルカリ本体で継続利用可能）
2. 事業的出品（メルカリShopsへの移行推奨）
事業者に必須となる「メルカリShops」の具体的なメリット
ユーザーが取るべき【行動指針】と最終チェックリスト
1. 不用品を中心に出品している方
2. 継続的な販売を行っている方
さらに詳しく！よくある疑問（Q&A）
まとめ

メルカリが発表した「事業者登録禁止」の真の目的

メルカリがこの大きな方針転換に踏み切った背景には、法令遵守（コンプライアンス）と健全な市場の育成という二つの重要な狙いがあります。

法令・税務上の透明性確保（コンプライアンスの強化）

近年、フリマアプリの売上に対する税務当局の監視が厳しくなっています。事業として継続的に利益を得ているにも関わらず、確定申告を行わないケースや、個人取引のルールで事業活動を行うことによる消費者保護の観点での問題が浮上していました。

メルカリShopsは、特定商取引法に基づく表記や、事業者としての登録情報が必須となるため、事業者が適切な納税義務を果たし、消費者に対して法的な責任を果たせる環境が整っています。プラットフォーム側がC2CとB2Cを明確に切り分けることで、利用者が意図せず法令違反を犯すリスクを減らす効果があります。

C2Cプラットフォームの「安心感」維持

個人が出品する不用品には、中古品ならではの価格や温かみといった魅力があります。一方で、事業者が介入すると、大量生産品や転売品が市場を占め、本来の「フリマ」の魅力が薄れてしまいます。

事業者登録を禁止することで、メルカリ本体は「家庭の不用品が中心」という原点に立ち返り、個人利用者が安心して利用できる、ノイズの少ないクリーンな取引空間を目指します。これにより、価格競争の激化を防ぎ、個人出品者にとっての利便性を高めることも期待されています。

最も重要な判断基準：個人出品と事業的出品の決定的な違い

「自分はどっちに当てはまるのか？」と迷う場合、最も重要なのは「出品の意図」と「商品の再現性」です。

個人出品（メルカリ本体で継続利用可能）

定義: 営利を主目的とせず、生活で利用していた物品の処分（断捨離や整理）が主目的の出品。

判断要素	詳細
商品の性質	自分が使用していた、または家族が使用していた不用品。原則、仕入れを行っていない。
出品の意図	部屋の整理、引っ越し、サイズアウトなど、生活の一環としての処分。
再現性	在庫がなく、一度売れたら同じ商品を再出品することはできない（商品の補充がない）。
税務上の扱い	生活用動産の売却益は、原則として非課税所得となる場合が多い。（ただし、貴金属や美術品など $30$ 万円超の売却益は課税対象となるため、注意が必要）
具体例	読み終わった本、サイズが合わない衣服、コレクションしていたトレカのダブり、使用しなくなったベビー用品など。

事業的出品（メルカリShopsへの移行推奨）

定義: 継続的かつ反復的に、利益を得ることを目的として行う販売活動。

判断要素	詳細
商品の性質	仕入れた商品、または自ら制作した商品（ハンドメイド）。
出品の意図	継続的な利益の確保、生業としての活動。
再現性	在庫を管理しており、売れても同じ商品を継続的に補充・再出品する。
税務上の扱い	事業所得または雑所得として、確定申告の義務が発生する。
具体例	定期的に制作・補充するアクセサリー、輸入雑貨やアパレルの継続的な販売、特定のジャンルに特化した古物（仕入れ品）の販売。

【注意点】: 出品数や売上金額の多さだけで判断されるわけではありません。極端に言えば、年に一度、 $100$ 万円の美術品を断捨離で売っても個人出品ですが、毎月 $5$ 千円の材料を仕入れて $1$ 万円分のハンドメイド品を売れば、それは継続的な事業活動と見なされます。

事業者に必須となる「メルカリShops」の具体的なメリット

事業活動がメルカリ本体で制限される代わりに、メルカリShopsは継続的な販売を支援するための本格的なEC（電子商取引）機能を提供します。

お店としての信頼とブランディング

専用ショップページ: ショップロゴ、紹介文、独自のデザインを設定でき、購入者にプロフェッショナルで統一感のあるブランドイメージを提供できます。
特定商取引法に基づく表記: 事業者としての情報が明記されるため、購入者からの信頼感が格段に向上します。

効率的な販売・管理機能

複数在庫の一括管理: 在庫数を登録することで、売れるたびに自動で在庫数が減り、在庫切れを未然に防ぎます。個人出品のように一つずつ再出品する手間が不要になります。
タイムセール機能やクーポン発行: リピーター獲得や集客に直結する販促キャンペーンを自由に行え、戦略的なビジネス運営が可能です。
B2C向け配送・注文管理: 注文情報や発送状況を一元的に管理できる仕組みが整備されており、大量の注文が入った際もスムーズなオペレーションが実現します。

手数料体系とステップアップ

販売手数料はメルカリ本体と同じ10%です（2025年9月現在）。しかし、Shopsでは事業者向けの決済システムやプロモーション機能が使えるため、費用対効果の高いビジネス運営が可能になります。
Shopsでは、法人としての登録も可能であり、事業の成長に合わせてステップアップできるプラットフォームです。

ユーザーが取るべき【行動指針】と最終チェックリスト

不用品を中心に出品している方

対応: これまで通りメルカリ本体を利用し続けて問題ありません。
チェックポイント:
- 売っているものが「自分で使ったもの」であることを再確認しましょう。
- 年に一度の大掃除などで大量出品しても、商品の性質が不用品であれば問題ありません。

継続的な販売を行っている方

対応: 2025年9月までにメルカリShopsへの移行を強く推奨します。
移行しない場合のリスク: 運営事務局から「事業活動」と判断された場合、出品の制限やアカウントの利用停止措置が取られる可能性があります。
チェックポイント:
- 在庫の仕入れや制作活動に費用が発生している場合は、Shopsへの移行とともに税務上の手続き（確定申告）についても準備を始めましょう。
- Shopsに移行することで、会計処理や売上管理が格段に楽になるというメリットを活かしましょう。

さらに詳しく！よくある疑問（Q&A）

Q	質問内容	詳細な解説と対応策
Q1	「事業者」だと判断される明確な基準はありますか？	A: 一律の基準は公開されていませんが、「継続的・反復的な営利目的の有無」が最大の判断材料です。出品数や売上額よりも、「売れたら同じ商品を補充しているか」「購入者に対して事業者のように一定の品質保証を謳っているか」が重要視されます。
Q2	趣味のハンドメイド作品でもShops移行が必要ですか？	A: 継続性と利益の有無によります。年に数回、余った材料で友人に売る程度の小規模な販売であれば個人出品でも許容される可能性があります。しかし、定期的に材料を仕入れ、継続的に制作・販売している場合は、趣味ではなく事業活動と見なされ、Shopsを利用するのが安全です。
Q3	売上が年間 $20$ 万円以下なら確定申告不要なので、Shopsも不要ですか？	A: 税務上の申告義務とプラットフォームの規約は別問題です。給与所得者の場合、雑所得 $20$ 万円以下は申告不要ですが、メルカリの規約では「継続的・反復的な活動」自体が事業者と判断されます。税額に関わらず、事業活動であればShopsを利用すべきです。
Q4	違反した場合、すぐにアカウント停止になりますか？	A: 通常、段階的な対応が取られます。多くの場合、まずは事務局から「事業活動と見なされるためShopsへの移行を推奨します」といった警告や注意が届きます。これを無視して事業活動を継続した場合に、出品停止やアカウント利用制限に至る可能性が高まります。
Q5	Shopsに移行すると、匿名配送などの機能は使えなくなりますか？	A: 匿名配送は引き続き利用可能です。 Shopsでは、「らくらくメルカリ便」の匿名配送に加え、大型商品の配送や、事業者向けの多様な発送方法を選択できます。利便性が低下する心配はほとんどありません。
Q6	個人アカウントで不用品と、少量作ったハンドメイド品を混ぜてもいい？	A: 判断が複雑になるため、避けるのが最善です。少量であっても「自作・仕入れ品」を継続的に混ぜてしまうと、アカウント全体が「事業的」と見なされるリスクが高まります。安全のため、事業活動はShops専用アカウントを作り、完全に分けることを推奨します。
Q7	Shopsに移行する際、法人化は必須ですか？	A: 必須ではありません。メルカリShopsは個人事業主としての登録が可能です。個人事業主の場合も、本人確認書類の提出と、特定商取引法に基づく表記に必要な情報（氏名、住所、連絡先）の登録が求められます。