日常の連絡手段として欠かせないLINEですが、アプリのアップデートが行われるたびに、一部のiPhoneユーザーにとって不安の種が生まれます。
特に古いiPhoneを使っている方にとって、「自分の機種はいつまで使えるのか?」「急に使えなくなるのではないか?」という疑問は切実です。この記事では、LINEの最新アップデートによってサポートが終了し、使えなくなるiPhoneの機種を具体的に解説し、その対策を徹底的にご紹介します。
LINEアップデートで使えなくなるiPhoneとは?
最新のLINEアップデートの概要と影響
LINEが定期的に実施する大規模なアップデートは、単なる新機能の追加以上の意味を持っています。主な目的は、セキュリティの強化、パフォーマンスの向上、そして新しいユーザー体験を提供するための技術的な刷新です。
これらのアップデートを実施する際、LINEを含む多くのアプリ開発元は、最新の技術基準を満たすため、古いオペレーティングシステム(OS)へのサポートを段階的に終了するのが通例です。特に近年では、最新の暗号化規格の導入や、高度なプライバシー保護機能の実装のために、新しいOSが提供する基盤(API)が必須となることが多くなっています。
このOSサポートの終了こそが、「LINEアップデートで使えなくなるiPhone」が発生する根本的な原因です。具体的には、LINEが「iOS 〇〇以上」を必須条件とした場合、それより古いOSで動作している、あるいは物理的にそれ以上のOSにアップデートできないiPhoneが影響を受けます。アップデートできなくなると、古いバージョンのLINEアプリ自体もセキュリティやサーバー維持の観点から、いずれ利用停止となる運命にあります。
使えなくなる機種一覧と対象年
LINEがサポートする最低OSバージョンが引き上げられると、そのOSバージョンに対応できない機種が使えなくなります。これは、OSのメジャーアップデートが打ち切られた機種から順番に発生する現象です。
現行の多くのアプリと同様に、LINEも最新の機能とセキュリティを提供するために、徐々に対応OSの基準を上げています。
対象となる機種の例 |
最終対応OSの例 |
LINEの利用状況(リスク度) |
---|---|---|
iPhone 5/5c 世代 |
iOS 10.3.4など |
完全に最新版へのアップデートは不可。古いバージョンも順次利用停止となることが決定済み。【高リスク】 |
iPhone 6 以前のモデル |
iOS 12など |
最新版へのアップデートが不可。古いバージョンは利用可能だが、今後使えなくなるリスクが非常に高い。【高リスク】 |
iPhone 6s/7 世代 |
iOS 13や14など |
現在は利用可能でも、次の大規模なOS要件変更(例:iOS 15以上必須)でサポート対象外となる可能性が高い。【中~高リスク】 |
iPhone 8/X 世代 |
iOS 16以上 |
現時点では安全。数年間は問題なく最新版を利用できる見込み。【低リスク】 |
最も影響を受けやすいのは、発売から約8年以上が経過し、AppleによるOSアップデートが打ち切られたiPhoneです。これらの機種は、セキュリティパッチすら提供されなくなるため、使用を続けることは推奨されません。
古いiPhoneの利用者に対する注意点
古いiPhoneの利用者で、現在もLINEを利用できている方も、時間の問題として以下の点に注意が必要です。
-
機能制限: 最新のOSが必須となる新機能(例:ビデオ通話の特定エフェクト、最新のAI機能連携、特定の絵文字やスタンプの表示)が利用できず、新機能の恩恵を一切受けられません。
-
セキュリティリスクの増大: アップデートが行われないということは、過去に発見されたセキュリティ上の脆弱性が修正されないことを意味します。アカウントの乗っ取りや個人情報漏洩のリスクが、最新機種の利用者と比較して格段に高まります。
-
サポート対象外による不具合: 古いOSでは動作保証外となるため、不具合が発生してもLINEの公式サポートを受けることが難しくなります。
-
突然の利用停止: LINEがサーバー側の仕様を変更した際、古いバージョンのアプリがサーバーに接続できなくなり、ある日突然、LINEアプリ自体が起動できなくなったり、ログインできなくなったりする可能性もあります。
使えなくなる理由とその詳細
アプリのバージョン制限とは?
アプリのバージョン制限とは、開発元が「このアプリの最新版は、〇〇のOSバージョンがないと動作に必要な技術的な基盤が確保できません」と設定する最低動作環境のことです。
LINEが最新機能や強化されたセキュリティ機能を実装する際、古いOSでは利用できない新しい技術(API)や、より効率的なメモリ管理手法を用いる必要があります。この技術的な制約が、古いOSバージョンを利用しているiPhoneをサポート対象外にせざるを得ない主な理由です。開発コストと安全性を天秤にかけた結果の判断と言えます。
対象OSの変更と影響を受けるデバイス
具体的にLINEは、数年ごとに最低動作保証OSのラインを引き上げています。このプロセスは通常、2段階で進行します。
-
新規ダウンロード/アップデートの停止: まず、古いOSではApp Storeから最新版のLINEをダウンロードまたはアップデートできなくなります。既存のアプリは引き続き利用可能ですが、セキュリティや機能は古いままです。
-
既存アプリの利用停止: その後、さらに期間が経過すると、古いバージョン(例:LINE v10.x以前)の動作自体が保証されなくなり、サービスが利用できなくなります。
これにより、そのOSバージョンまでアップデートできないiPhoneの利用者は、LINEの最新版を利用できなくなり、最終的に「使えなくなる」状態に陥ります。影響を受けるのは、主にAppleがOSアップデートを終了したiPhoneです。
プライバシーポリシーの更新情報
LINEアップデートに伴うセキュリティおよびプライバシーポリシーの更新も、OS制限を加速させる重要な理由の一つです。世界的にデータ保護規制(GDPRなど)が強化される中、アプリはユーザーのプライバシーを保護するための新しいプロトコルや暗号化処理を導入する必要があります。
これらの高度なプライバシー保護機能を実装するためには、新しいOSが提供する強固なセキュリティ機構やアクセス制限機能を利用することが必須となります。古いOSではこれらの最新基準に対応できず、結果として、安全性の観点からもそのOSでのサポートを継続することが難しくなるのです。
iPhoneでの影響を受ける機種の具体例
iPhone 8とその他古い端末
現時点での一般的な目安として、iPhone 8以降の機種(A11 Bionicチップ以降搭載)は、比較的長く最新OSのサポートが続く傾向にあるため、LINEの利用に関しても安全性が高いです。
一方で、iPhone 6、iPhone 6s、そしてiPhone 7といった機種は、すでに最新OSへのアップデートができないか、非常にギリギリのラインにいます。特にiPhone SE (第1世代)は、スペック上はiPhone 6sに近いですが、コンパクトモデルとして長く愛用されてきたため、サポート終了による影響が大きい機種です。これらの機種は、現在LINEが利用できていても、次の大きなOS要件変更で真っ先に使えなくなるリスクが高いと認識しておく必要があります。
iPhone 12の現状と今後の対応
iPhone 12以降のモデルは、高性能なチップと最新のOS(iOS 17/18など)に対応しており、今後数年間はLINEを含む主要なアプリを安心して利用できると見込まれています。
しかし、機種自体が新しくても油断は禁物です。iPhone 12のユーザーでも、OSを最新の状態に保つことは非常に重要です。OSアップデートを怠ると、機種自体は新しくても、LINE側で設定された最低動作環境を下回り、アプリの動作不安定や一部機能の不具合の原因となることがあります。常に「設定」アプリで最新のiOSバージョンが提供されていないか確認しましょう。
不具合の事例と報告を通じての検証
OSが古い状態でLINEを利用し続けると、ユーザーからは以下のような具体的な不具合が報告され始めます。
-
LINEの通知が来なくなる(バックグラウンド処理のOS制限による)
-
アプリが頻繁にクラッシュする(落ちる)
-
トーク履歴のバックアップが失敗する、またはiCloudに接続できない
-
友だち検索やQRコード読み取り、特定の形式の動画/音声ファイルの送受信ができない
-
LINE Payなどの決済機能が起動しない
これらの報告が増えると、LINE側も古いOSでの動作検証のコストやリスクを鑑み、正式にサポート対象外とする決定を下しやすくなります。不具合を感じ始めたら、それはサポート終了のサインと捉えるべきです。
アップデートできない原因と対策
いざアップデートしようとしてもApp Storeで「開く」しか表示されない、またはエラーが出てしまう場合、機種が古いこと以外にも原因があるかもしれません。
ストレージ不足や古いOSが与える影響
最も多い原因は、以下の2つです。
-
ストレージ不足(容量不足): iPhone本体の容量がLINEアップデートに必要な空き容量を満たしていない。アプリのアップデートやOSのアップデートには、インストール先の容量とは別に、一時的にデータを展開するための空き容量が必要です。
-
対策: 「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」で確認し、不要な写真や動画、大容量のアプリを削除するか、iCloudなどのクラウドサービスに移行して容量を確保してください。
-
-
OSが古い: iPhoneのOS(iOS)自体が古すぎて、最新のLINEアプリと互換性がない。
-
対策: まず「設定」→「一般」→「ソフトウェアアップデート」でiOSを最新版にアップデートする必要があります。機種の最終対応OSが最新版であるかを確認してください。
-
対処法:再起動やデータ削除
一時的なシステム上の問題は、簡単な操作で解決することがあります。
-
再起動: 一時的なシステムエラーであれば、iPhoneを再起動(電源を完全に切って入れ直す)するだけで、メモリがクリアされ、アップデートが正常に開始されることがあります。
-
App Storeキャッシュのクリア: App Storeアプリを開き、画面下部のいずれかのタブ(例:「Today」)を連続で10回タップすることで、ストアのキャッシュがクリアされ、表示が更新されることがあります。
-
データ削除: 前述の通り、ストレージの空きを増やすために、使っていないアプリや「設定」→「一般」→「iPhoneストレージ」で確認できる「システムデータ」を整理しましょう。
アプリの再インストール手順
OSやストレージに問題がないにもかかわらずアップデートできない場合は、一度LINEアプリを削除し、最新版を入れ直す「再インストール」という方法もあります。
【重要】 再インストールを行う前に、必ず二重にバックアップを確認してください!
-
LINE内の「設定」→「トークのバックアップ」でトーク履歴がiCloudに保存されていることを確認。
-
LINE内の「設定」→「アカウント」で、登録されている電話番号、メールアドレス、パスワードをメモしておきます。
-
LINEアプリをホーム画面から削除し、App Storeから最新版をダウンロードします。
バックアップがないまま削除すると、大切なトーク履歴が全て消えてしまいます。慎重に行ってください。
LINEアップデートに関するよくある質問
アップデートをしない場合のリスク
アップデートをしない場合の最大のリスクは、セキュリティ上の脆弱性が放置されることです。アプリのバグやセキュリティホールは常に見つかっており、アップデートはその「穴」を塞ぐためのものです。アップデートを怠ると、既知の脆弱性を狙ったサイバー攻撃(例:個人情報やアカウント認証情報を盗むフィッシング詐欺)に対して無防備になります。また、LINEの新しいサービスが利用できない、アプリの動作が不安定になる、そして最終的に使えなくなる日が確実に近づくことは避けられません。
データのバックアップ方法と確認方法
iPhoneでLINEのデータを安全にバックアップする方法は、機種変更やアプリの再インストール時に最も重要です。
-
LINEアプリを開き、「設定」(歯車アイコン)をタップ。
-
「トーク」→「トークのバックアップ」を選択。
-
「今すぐバックアップ」をタップ。
バックアップが完了すると、「最終バックアップ」の日時が更新されます。この日時が最新であることを確認しましょう。また、重要なOSアップデートやLINEのメジャーアップデートを行う前には、念のため手動でバックアップを取得しておくことを強く推奨します。
移行に関する新しい通知と注意点
LINEは、サポート終了が近づくとアプリ内や公式サイトで段階的な告知を行います。古いOSを利用しているユーザーには、通常、以下の2段階の通知が表示されます。
-
事前警告: 「このOSは将来的にサポート対象外になります」といった警告メッセージが表示されます。この時点ではまだ利用可能です。
-
最終通知: 「〇月〇日以降はアプリが利用できなくなります」という具体的な期日が示されます。
この通知を見逃さないようにしましょう。特に新しい機種へ移行する際は、事前に新しい機種でLINEにログインするためのアカウント情報(電話番号、パスワード)が正しく登録されているかを古いiPhoneで確認することが必須です。
結論:今後のLINEアップデートに備えるために
機種変更を考えるべき理由
古いiPhoneを使い続けることは、初期費用を抑えられますが、安全面や利便性、そしてストレスを犠牲にすることになります。LINEが使えなくなるリスク、セキュリティアップデートが受けられないリスクに加え、バッテリーの劣化による急な故障や、最新のカメラ技術・5G通信の恩恵を受けられないなど、多くのデメリットがあります。iPhone 6/7/8世代をご利用の方は、これらのリスクと不便さを総合的に考え、機種変更を真剣に検討する時期に来ています。
最新アプリの利用とそのメリット
最新のiPhoneと最新のLINEアプリを利用することで、以下のメリットを最大限に享受できます。
-
強固なセキュリティ機能でアカウントと個人情報を保護できる。
-
アプリの起動や動作速度が向上し、ストレスなくメッセージのやり取りが可能になる。
-
新しい便利機能(例:AIを活用した機能、決済機能、オープンチャットの新機能)をフル活用できる。
-
万が一の不具合の際にも、公式サポートの対象となり、迅速な対応が期待できる。
アップデート履歴を確認する重要性
LINEの公式サイトやApp Storeのアップデート履歴、そして信頼できるテックニュースサイトは定期的に確認しましょう。「動作環境」の項目に記載されている最低動作保証OSのバージョンが引き上げられていないかを確認することで、あなたのiPhoneが使えなくなるタイミングを予測できます。早めに情報をキャッチし、機種変更やデータ移行の準備を始めることが、最も賢明な備え方です。
まとめ
LINEアップデートで使えなくなるiPhoneのテーマは、iPhoneの寿命とアプリの進化が交差する避けて通れない問題です。
現時点でLINEが利用できていても、OSのアップデートができないiPhone(主にiPhone 6以前、今後iPhone 7世代)は、突然使えなくなるリスクを抱えています。
大切なトーク履歴を守り、今後も安心してLINEを使い続けるために、ご自身のiPhoneのOSバージョンを把握し、古い機種をご利用の方は早めの機種変更を検討することをおすすめします。