2026年1月6日の夕方18時ごろ、太平洋側の沿岸部を中心に「夜空に謎の光の列が見える」という目撃情報が相次ぎました。
「UFOかもしれない」「火の玉が飛んでいる」とSNSでも大きな話題となりましたが、その正体は宇宙開発企業SpaceX社による人工衛星群「スターリンクトレイン」です。
この記事では、なぜ1月6日にあのような不思議な光が見えたのか、そこで「だんだん薄くなって消えてしまった」理由について、最新のニュース情報をもとに詳しく解説します。
2026年1月6日18時ごろ、太平洋側の空に現れた「謎の光の列」の正体は?
UFOや飛行機ではない?目撃された不思議な動きの特徴
2026年1月6日の18時過ぎ、茨城県、千葉県、愛知県、三重県など、主に日本の太平洋側の広い範囲で「等間隔に並んだ光の粒が、ゆっくりと空を横切っていく」様子が目撃されました。 この日の目撃情報は非常に具体的で、多くの人が共通して「30個近い光の点が、まるで目に見えない糸で繋がっているかのように正確な列を成していた」と証言しています。
目撃者の多くは「エンジン音が全くしない」「通常の旅客機にしては数が多すぎ、かつ低空を飛んでいるように見える」「不気味なほど規則正しく並んで移動している」といった点に驚きの声を上げていました。中には「UFOの帰省ラッシュではないか」といった冗談交じりの憶測や、正体不明の光景に対する強い不安を感じた人も少なくありません。この現象は数分間にわたって観測され、最後は吸い込まれるように消えていくという、極めて非日常的な特徴を持っていました。
正体はイーロン・マスク氏率いるSpaceX社の「スターリンク衛星」
この世のものとは思えない光の列の正体は、実業家イーロン・マスク氏が率いるアメリカの宇宙開発企業「SpaceX(スペースX)」が展開する通信衛星「Starlink(スターリンク)」です。 スターリンクは、従来の衛星通信とは一線を画す革新的なプロジェクトです。地球上のあらゆる場所に高速かつ低遅延のインターネット環境を届けることを目的としており、最終的には数万基という膨大な数の小型衛星を地球の低軌道上に網状(コンステレーション)に配置することを目指しています。
これまでインターネットが届きにくかった山岳地帯や離島、さらには洋上や航空機内、災害現場など, あらゆる場所で通信を可能にするこのインフラは、現代社会において非常に重要な役割を果たし始めています。今回目撃されたのは、まさにその「インフラの一部」が宇宙へ配置される過程の姿だったのです。
なぜ「光の列(トレイン)」になって見えるのか?
通常、人工衛星は一つずつ打ち上げられるイメージがありますが、スターリンク衛星はコスト削減と効率化のため、一回のファルコン9ロケットで数十基(今回は29機)がギュッと詰め込まれた状態で宇宙へ運ばれます。 ロケットが高度数百キロに到達し、衛星を放出する際、これらは一度にまとめて放出されます。宇宙空間に解き放たれた直後の衛星たちは、まだそれぞれの役割を果たすための「定位置」に散らばっていません。放出から数日間は、物理の法則に従って同じ軌道を、ほぼ同じ速度で、数秒から数十秒の間隔を保ちながら周回し続けます。
この「放出直後から各軌道へ展開するまで」の短い期間だけ、地上からは光の粒が列車のように連なって見えるため、天文ファンやメディアの間では「スターリンクトレイン」という愛称で呼ばれています。時間が経過するにつれて、各衛星は自身のスラスターを使用して異なる高度や角度へ移動していくため、この美しい整列状態は数日後には崩れて見えなくなってしまいます。
なぜ1月6日に日本各地で見えた?観測された理由と条件
1月4日に打ち上げられたばかりの最新衛星群だった
スターリンクトレインが「列」として綺麗に見えるのは、打ち上げから数日以内の限られた期間だけです。衛星が一度放出されると、それぞれの衛星は目的の高度(約550km)や軌道へと少しずつ分散していきます。そのため、数週間も経てば衛星同士の距離が数百キロ以上離れてしまい、肉眼で「列」として認識することは不可能になります。
今回のケースでは、現地時間の1月4日にアメリカ・フロリダ州のカナベラル宇宙軍施設から、29機のスターリンク衛星を搭載したファルコン9ロケットが打ち上げられたばかりでした。打ち上げからわずか2日後という、衛星同士がまだ数キロから数十キロの近距離に密集していたタイミングで日本上空を通過したことが、今回の「非常に鮮明で長い列」を作り出した最大の要因です。目撃された光の粒の数は打ち上げ数とほぼ一致しており、まさに宇宙のデリバリーが完了した直後の姿を私たちは目撃したことになります。
「だんだん薄くなって消えた」のは地球の影に入ったから
SNSやニュースへの投稿で特に目立ったのが、「光の列が夜空を進んでいくうちに、進行方向の先頭から順にふっと吸い込まれるように消えてしまった」という不思議な現象への疑問です。一見すると、雲に隠れたり、あるいはUFOがワープしたかのような光景に見えますが、これには明確な物理的理由があります。
その正体は「地球の影(本影)」です。人工衛星は自らライトを点灯させて光っているわけではなく、鏡のように「太陽の光」を反射することで輝いています。衛星が夜空を移動し、地球が太陽の光を遮っているエリア、つまり影の領域に足を踏入れた瞬間、反射する光の供給源が断たれます。この現象を「食(しょく)」と呼びます。1月6日の目撃例では、北東の空へ進むにつれて衛星が地球の影に入ったため、先頭の衛星から順番に太陽光が当たらなくなり、私たちの目には「一列に並んだ光が次々と消えていく」という幻想的な演出となって映し出されたのです。
日没直後の18時前後は「太陽光の反射」が最も強く見える時間帯
「なぜ真夜中ではなく、18時ごろによく見えるのか?」という点も、観測の重要な条件の一つです。人工衛星を肉眼で見るためには、二つの条件が同時に成立している必要があります。一つは、地上の観測者が「夜」の領域にいて空が十分に暗いこと。もう一つは、上空数百キロの衛星にはまだ「太陽の光」が当たっていることです。
1月6日の18時ごろという時間帯は、地上はすでに日が沈んで暗くなっている一方で、高度約500km以上の宇宙空間には、地球のカーブ越しにまだ太陽光が届いている「薄明(はくめい)」の状態でした。この絶妙な時間差により、暗い夜空を背景にして、太陽光を浴びてキラキラと輝く衛星が浮かび上がったのです。さらに冬の澄んだ空気も手伝って、光が拡散されることなく太平洋側の広範囲でくっきりと観測されるという、絶好のコンディションが整っていました。
スターリンクトレインとUFO・飛行機・流れ星の見分け方
飛行機との違い:点滅せず、一定の速度で一列に並んで進む
夜空で見える一般的な飛行物体との最大の違いは「光り方」と「数」にあります。通常の飛行機には、航空法によって「衝突防止灯(ストロボ)」や「航法灯」の設置が義務付けられており、赤や白、緑の光がチカチカと点滅したり、左右異なる色が確認できたりするのが一般的です。一方、スターリンク衛星は太陽光の反射によって輝いているため、光が明滅することなく、一定の光度を保ったままスーッと動いていくのが特徴です。
また、飛行機が30機近くも同じ高度・同じ間隔で一列に並んで飛行することは、航空管制上の安全面からまずあり得ません。もし夜空を見上げて、無音で点滅しない光が規則正しい隊列を組んで進んでいたら、それは飛行機ではなくスターリンクトレインであると判断して間違いありません。
流れ星との違い:数秒で消えず、数分間にわたって観測される
流れ星(流星)は、宇宙の塵が大気圏に突入して燃え尽ける現象であり、その寿命は長くても数秒、通常は1秒にも満たない一瞬の出来事です。一箇所に留まることなく夜空を高速で駆け抜け、すぐに消えてしまいます。対してスターリンク衛星は、第一宇宙速度に近い猛スピードで移動してはいますが、地上からは肉眼で数分間にわたって追い続けることができます。
もしあなたが「あれは何だろう?」と家族を呼んだり、スマホを取り出してカメラを起動させたりする時間があるのなら、それは十中八九流れ星ではありません。また、流れ星が同じ方向から次々と数十個も同じライン上を流れることも、大規模な流星群の極大期であっても極めて稀な現象です。
UFO説が流れる理由:夜空に突如現れる「銀河鉄道」のような異常な光景
「スターリンク衛星」という存在を事前に知らなければ、1月6日の光景を「UFO(未確認飛行物体)」だと直感するのは極めて自然な反応です。なぜなら、人間の脳は未知の視覚情報に直面した際、過去のSF映画やアニメなどの知識から最も近いイメージを呼び起こすからです。
30個もの発光体が無音で隊列を組んで進み、最後は空間に吸い込まれるように消えていく様子は、まさにSF作品に登場する「マザーシップ(母船)からの偵察機軍団」や、宮沢賢治の「銀河鉄道」を彷彿とさせます。特にSNS全盛の現代では、衝撃的な映像がリアルタイムで拡散されるため、「ついに地球外生命体が現れた」といった興奮や恐怖が連鎖しやすくなっています。しかし、その正体が最新の通信インフラであると知ることで、恐怖は科学技術への驚嘆へと変わります。現代の夜空には、自然現象でも未知の生命体でもない、人類が創り出した「新しい天体」が走り始めているのです。
スターリンク衛星とは?私たちの生活との意外な関係
世界中に高速インターネットを届けるための通信衛星群
スターリンクが目指すのは、地上に張り巡らされた光ファイバー網だけではカバーしきれない「通信の空白地帯」をなくすことです。従来の衛星通信は、高度36,000kmという遠い宇宙にある静止衛星を利用していたため、信号の往復に時間がかかり、ビデオ会議やオンラインゲームには不向きという欠点がありました。一方、スターリンクは高度約550kmという「低軌道」に衛星を配置することで、光ファイバーに匹敵するほどの低遅延・高速通信を実現しています。
この技術は、山間部や離島の住民にとっての命綱となるだけでなく、洋上を航行する船舶や空を飛ぶ航空機の通信環境を劇的に改善しました。さらに特筆すべきは災害時の強靭さです。日本においても、2024年の能登半島地震の際には、通信インフラが断絶した被難所や自治体に数百台のスターリンク端末が無償提供され、救助活動や安否確認を支える「現代のライフライン」としての価値を証明しました。
今後はもっと見やすくなる?打ち上げペース加速の背景
現在、SpaceX社は「再利用可能なロケット」という画期的な技術を武器に、驚異的な頻度で衛星を打ち上げています。かつては数ヶ月に一回だったロケットの打ち上げは、今や週に数回というペースにまで加速しており、一度に数十基の衛星が軌道へ投入され続けています。最終的には第2世代衛星を含め、3万基から4万基という途方もない数の衛星コンステレーションを構築する計画です。
この打ち上げ頻度の向上は、私たちが1月6日のような「スターリンクトレイン」を目撃する確率が、今後さらに高まっていくことを意味しています。特に、新型ロケット「スターシップ」の実用化が進めば、一度に100基以上の衛星を運ぶことも可能になると言われており、夜空を彩る光の列は、かつての珍しい現象から、現代を象徴する日常的な風景へと変わっていくのかもしれません。
天体観測への影響も?専門家が懸念する「光害」の問題
私たちの生活を豊かにする一方で、スターリンクのような巨大衛星群は科学界に新たな議論を巻き起こしています。その筆頭が「光害(ひかりがい)」の問題です。衛星が太陽光を強く反射して輝くため、地上にある大型望遠鏡で夜空を長時間露光撮影すると、無数の光の筋が写真に入り込み、観測データを台無しにしてしまうことが増えています。天文学者たちは「暗く美しい夜空は人類共通の遺産であり、科学探査を妨げるべきではない」と強い懸念を示しています。
これに対しSpaceX社も無策ではありません。衛星の底面に反射防止用のコーティングを施したり、太陽電池パネルの角度を調整して反射を抑える仕組みを導入したりと、改善を続けています。さらに、衛星が地球の電波天文学を妨害しないよう、使用周波数の調整も行われています。利便性と科学的探査、そして夜空の美しさをどう両立させていくかという課題は、宇宙開発が進む現代において非常に重要なテーマとなっています。
次回のスターリンクトレインはいつ見える?確認方法を紹介
「Find Starlink」など現在位置を予測するツール・アプリの活用
スターリンクトレインは気まぐれに現れるものではなく、精密な軌道計算に基づいた「予測可能な現象」です。次にいつ、どの方向から現れるのかを知るためには、有志や専門家が公開している予測ツールを活用するのが最も確実です。
-
Find Starlink: 非常にシンプルで使いやすい代表的なWebサイトです。自分の住んでいる都市名や緯度経度を入力するだけで、「Good visibility(よく見える)」「Average visibility(まあまあ見える)」といった評価とともに、次にトレインが通過する日時、方角(例:西から北東へ)、そして見え始める高度を分かりやすく一覧表示してくれます。
-
Heavens-Above: より詳細なデータを求める天文ファン向けのサイトおよびアプリです。スターリンクだけでなく、国際宇宙ステーション(ISS)などの通過情報も網羅されており、夜空のどのあたりを通過するのかを星図(スカイチャート)上で確認できるため、事前にカメラの向きを固定する際に非常に重宝します。
-
SNS(Xなどのハッシュタグ): 「#スターリンクトレイン」や「#StarlinkTrain」で検索すると、直近の目撃報告や、アマチュア写真家による予測情報がリアルタイムで流れています。特に「今見えた!」という情報は、数分後に自分の地域で観測できるかどうかの重要な判断材料になります。
天候とタイミングが重要!観測に適した場所と方角
スターリンクトレインを成功させるためには、「いつ」だけでなく「どこで」見るかも重要です。衛星は自ら光を放たないため、観測条件はかなりシビアです。
まず、打ち上げ直後のタイミングを狙うことが不可欠です。SpaceXの打ち上げスケジュールを確認し、打ち上げから2〜3日以内が最大のチャンスであることを覚えておきましょう。場所については、街灯やネオンサインなどの光害が少ない開けた場所が理想的です。太平洋側の地域であれば、海辺に出ると遮蔽物がなく、水平線近くから昇ってくる光の列を捉えやすくなります。
方角は毎回異なりますが、多くの場合は北西から南東、あるいは南西から北東へと大きく空を横切っていきます。コンパスアプリなどで事前に方角を確認し、予測ツールが示す「見え始める高度(仰角)」を意識して、少し早めに待機しておきましょう。また、冬場の観測は空気が澄んでいて有利ですが、海辺などは非常に冷え込むため、万全の防寒対策を忘れないでください。
写真や動画に綺麗に収めるためのスマホ撮影のコツ
一昔前までは人工衛星の撮影には一眼レフと三脚が必須でしたが、近年のスマートフォンのカメラ性能向上により、誰でも手軽にスターリンクトレインを記録できるようになりました。
-
静止画撮影: 三脚や壁を使ってスマホを完全に固定するのがコツです。「夜景モード」や「ナイトモード」をオンにし、露出(シャッタースピード)を長めに設定します。衛星は動いているため、数秒の露光をかけると光の粒が「線」として写り、よりトレインらしい流動的な写真になります。
-
動画撮影: 手持ち撮影だと手ブレで光の列が判別しにくくなるため、スマホ用ジンバルやスタンドを使用しましょう。動画の場合は「露出補正」を少しマイナス(暗め)に調整すると、背景の夜空が締まり、光の粒が白飛びせずにくっきりと描写されます。
-
失敗を防ぐポイント: オートフォーカスが夜空の暗さで迷ってしまうことがあるため、明るい月や遠くの街灯で一度ピントを固定(AFロック)してから、衛星が来る方向にカメラを向けておくと、いざという時にピンボケで撮り逃す心配がありません。
まとめ:1月6日の光は現代の「宇宙技術」が作った光景だった
1月6日に目撃された謎の飛行物体の正体は、SpaceX社の通信衛星「スターリンクトレイン」でした。
-
正体: 通信衛星の集団が打ち上げ直後に一列に並んでいる姿。
-
消えた理由: 地球の影に入り、太陽光の反射がなくなったため。
-
今後: 打ち上げが続く限り、また見るチャンスがあります。
もし次に夜空で光の列を見つけたら、それは宇宙から世界中を繋ごうとしている最新技術の姿です。驚かずに、現代の「銀河鉄道」をゆっくりと楽しんでみてください。

