期待の新作アクションRPG『紅の砂漠』。その圧倒的なグラフィックと壮大な世界観に惹かれる一方で、SNSやレビューサイトでは「操作性がゴミ」「もっさりしすぎて動かせない」といった過激な批判が目立ちます。
特に、かつて『ウィッチャー3 ワイルドハント』をプレイして「操作感が合わずに断念した」という経験を持つ方にとって、この評価は非常に気になるポイントでしょう。結論から言えば、本作の操作性は「極限までリアルを追求した結果の不自由さ」にあります。
この記事では、なぜ操作性がこれほどまでに叩かれているのか、そしてウィッチャー3で挫折した人が手を出しても大丈夫なのか、その真実を徹底解説します。
『紅の砂漠』の操作性が「ゴミ」と言われる最大の理由
「ユーフォリア物理エンジン」がもたらす究極のリアリティと弊害
『紅の砂漠』が採用している「ユーフォリア物理エンジン」は、キャラクターを単なる3Dモデルとしてではなく、筋肉の動きや重心の移動、周囲の環境への反応までをリアルタイムでシミュレーションする高度な技術です。これは『グランド・セフト・オートV』や『レッド・デッド・リデンプション2』などでも活用された技術であり、その実在感は他の追随を許しません。 しかし、この「リアルすぎる動き」がアクションゲームとしてのテンポを著しく阻害しています。例えば、全速力で走っている最中に急に止まろうとしても、慣性によって数歩進んでしまったり、地面が濡れていれば足が滑って体勢を崩したりします。段差に足を取られれば不格好に躓くといった挙動が、効率的なゲームプレイを求めるプレイヤーには「思い通りに動かないストレス」として蓄積されていくのです。
ボタン一つで動かない?アクションの「慣性」と「ラグ」の正体
多くのアクションゲームでは、ボタンを押した瞬間にキャラクターが特定のフレームで攻撃を繰り出しますが、本作では「剣を振り抜くための溜め」や「体重移動の予備動作」までもが物理演算に基づいて描写されます。 このため、ボタン入力から実際の攻撃判定が発生するまでにわずかな「間」が生じ、これが格闘ゲームやハイスピードアクションに慣れた層には致命的な入力遅延(ラグ)のように感じられます。さらに、コンボを入力する際もキャラクターの現在の姿勢や体勢が影響するため、連打すれば解決するという単純な設計にはなっていません。この独特の重みが、直感的な操作を好む層からは「ゴミ」と切り捨てられる大きな要因となっています。
「自転車の練習」が必要?開発者が語る操作への慣れと習熟
開発元のPearl Abyssは、この独特な操作感について「自転車の練習と同じ」という非常に示唆に富んだ表現をしています。乗り始めた頃はハンドル操作もままならず、バランスを取るだけで精一杯ですが、練習を重ねて身体が理屈を覚えれば、無意識に、かつ自在に乗りこなせるようになるという考え方です。 これはつまり、本作が「最初から誰もが快適に、ボタン一つで無双できるゲーム」として設計されていないことを意味します。プレイヤー自身がキャラクターの「重心」や「慣性」を理解し、それを制御する術を学ぶ「習熟プロセス」そのものをゲーム体験の核心に据えているのです。
ウィッチャー3の操作性で挫折した人との相性をチェック
ウィッチャー3の「もっさり感」と紅の砂漠の「重厚感」の共通点
『ウィッチャー3』の主人公ゲラルトも、移動時の慣性が非常に強く、小回りが利かない「もっさりした操作感」であると広く批判されました。あちらも「リアリティ」を重視した結果の設計でしたが、もしあなたがゲラルトの挙動を「ストレスで耐えられない」と感じてゲームを投げてしまったのであれば、『紅の砂漠』はさらに過酷な試練となるでしょう。 本作の「重厚感」は、ウィッチャー3以上に徹底されています。移動の開始、停止、旋回といったあらゆる動作に物理的な重みが介在するため、ウィッチャー3で感じた不自由さを数倍に強化したような体験になる可能性が高いからです。
ゲラルト以上に制御が難しい?主人公クリフの独特な挙動
本作の主人公クリフは、ゲラルト以上に環境や物理法則に翻弄されます。走っている最中の急な方向転換では大きく円を描くように動く必要があり、狭い室内での探索や精密な立ち回りには、Lスティックの繊細な加減が求められます。 ウィッチャー3のゲラルトが「不親切なベテラン」だったとするならば、紅の砂漠のクリフは「物理法則に忠実すぎる頑固者」です。どちらもプレイヤーの意図を100%反映するのではなく、キャラクター側の都合(物理的制約)をプレイヤーが汲み取る必要があるという点で、極めて似通ったストレス耐性が要求されます。
「直感的なアクション」を求めるなら避けるべきか
もしあなたが『デビルメイクライ』のようなスタイリッシュアクションや、『SEKIRO』のようにボタンを押した瞬間に火花が散るようなレスポンスを求めているのであれば、本作の操作性は間違いなく「期待外れ」に終わります。キャラクターとプレイヤーの意志が直結する快感を追求するゲームとは、目指している方向が根本から異なるためです。
操作性の評価を二分する「シミュレーター」としての側面
NPCとの会話やアイテム拾いにも「手順」が必要な設計
一般的なRPGではボタン一発で完了する「アイテム拾い」や「会話」も、本作では妥協がありません。キャラクターがその場にしゃがみ込み、対象を確認し、手を伸ばして掴むという一連のモーションを省略せずに描写します。 これは効率を最優先するプレイヤーにとっては単なる「無駄な時間」であり苦痛でしかありませんが、一方で世界にどっぷりと浸かりたいプレイヤーにとっては、記号的な処理ではない「そこに生きている実感」を強く抱かせる重要な要素となります。一挙手一投足に意味を持たせる、まさに生活シミュレーター的なこだわりが随所に詰まっています。
物理演算が引き起こす「予期せぬ挙動」をどう楽しむか
斜面で足を滑らせればそのまま数メートル下までゴロゴロと転がり落ち、戦闘中に壁際で大振りをすれば剣が壁に弾かれて大きな隙を晒す。こうした「かっこ悪い失敗」もすべて計算された物理演算の結果です。 これを「開発の調整不足」や「ゲームとしてのバグ」と捉えてイライラするか、あるいは「次にどう立て直すか」を考えるハプニングとして楽しめるかで、評価は天と地ほどに分かれます。予定調和ではない、制御不能な面白さが本作の醍醐味と言えるでしょう。
没入感(イマージョン)を最優先した結果のトレードオフ
結局のところ、本作は「ユーザーに媚びた便利なゲーム」ではありません。操作性の快適さやスピード感をある程度犠牲にしてでも、その場に風が吹き、重力が存在し、肉体があるという「圧倒的な実在感」を優先した結果が現在の仕様です。このトレードオフを許容できるかどうかが、本作を「神ゲー」と感じるか「ゴミ」と感じるかの分岐点となります。
それでも「紅の砂漠」をプレイする価値がある人・ない人
この操作性が「最高の体験」に変わるプレイヤーの特徴
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キャラクターの「重み」や「手応え」に快感を覚える人
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ゲーム内の効率よりも、世界観やキャラクターへの「没入感」を愛する人
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制御しづらいキャラクターをねじ伏せ、自在に動かせるようになる過程を楽しめる人
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物理演算による予測不能なドラマを楽しめる余裕がある人
ストレスが勝ってしまう「買ってはいけない」プレイヤーの条件
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スピーディーでストレスフリーな「無双系アクション」を求めている人
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探索や収集において、少しの足止めも許容できないタイムパフォーマンス重視の人
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ウィッチャー3を操作感の「もっさり」だけで辞めた過去があり、それを今も許せない人
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「ゲームなんだから思い通りに動いて当然」という価値観を強く持っている人
設定で改善できる?操作感のカスタマイズ性について
最新の状況では、カメラの回転速度や追従感度、デッドゾーンの設定によって、ある程度の「見た目上のレスポンス」は調整可能になっています。しかし、これはあくまで視覚的な補正に過ぎません。キャラクターの足取りの重さや攻撃の予備動作といった根本的な物理挙動はプログラムの根幹にあるため、設定一つで別ゲーのような軽快さになることはありません。
購入前に知っておきたい!後悔しないための判断基準
最新アップデートによる操作感の調整・改善状況
開発チームはユーザーからの「動かしにくい」「酔いやすい」というフィードバックを真摯に受け止めており、発売後も細かなモーションの繋ぎやカメラワークの改善を継続的に行っています。初期の試遊版に比べれば、キャラクターの反応性はこれでも向上しているという意見もありますが、それでも世間一般のアクションゲームに比べれば「重い」という事実に変わりはありません。
「操作がゴミ」というレビューの裏にある熱狂的なファンの声
批判が目立つ一方で、「この不自由さこそが次世代の体験だ」と強く支持するファンも確実に存在します。彼らにとって、簡単に動かせるキャラクターは「浮いている」ように見え、紅の砂漠の不便さこそが「地面を踏みしめている証」なのです。万人受けを潔く捨て、特定の層に深く、鋭く刺さる作りになっているのがこのゲームの真実です。
結論:ウィッチャー3で辞めた人は「覚悟」が必要
「ウィッチャー3で挫折した」という過去の経験は、本作を評価する上での非常に有効なバロメーターになります。あのアクションに対して「何とかなるだろう」という楽観的な期待で本作に挑むと、高い確率で返り討ちに遭います。もし購入を検討しているのであれば、それは「ゲームを遊ぶ」というよりは「物理法則の厳しい異世界に身を投じる」という、ある種のアスリート的な覚悟を持って挑むべきでしょう。
まとめ:紅の砂漠は「不自由さ」を楽しむ次世代のRPG
『紅の砂漠』の操作性は、決して手抜きや技術不足で作られた「ゴミ」ではありません。むしろ、世界最高峰の物理エンジンを駆使し、膨大な計算リソースを費やして作り上げられた「超リアルな不自由さ」です。
ウィッチャー3で挫折した人にとっては、非常に高い壁がそびえ立つ作品ですが、その壁を「習熟」という努力で乗り越えた先には、他のどのタイトルでも味わうことができない圧倒的な「世界との一体感」が待っています。直感的な楽しさを優先するか、未知のリアリティという挑戦を受けるか。あなたのプレイスタイルと忍耐力に合わせて、慎重に検討してみてください。
