22年前の小学生時代のいじめと、それに連鎖する現在の連続殺人事件を描くサスペンスドラマ『良いこと悪いこと』は、オリジナル脚本ならではの複雑な伏線と、人間の心の闇を深くえぐるテーマ性が大きな魅力です。物語の核心を握る「7人目の同級生」の存在が、第5話でついに「博士」というあだ名とともに浮上しました。
ここでは、謎に包まれた7人目の博士の正体に迫る、視聴者の考察を徹底的に分析し、その存在が物語に与える意味について深掘りします。
「博士」とは、主人公である高木（間宮祥太朗）や園子（新木優子）が在籍した小学校の同級生7人組の中で、他の6人から完全に記憶から抜け落ちていた人物です。彼らの集合写真からすら意図せず除外され、まるで最初から存在しなかったかのような扱いを受けていました。
第5話にて、過去の「夢の絵を持つビデオ映像」から、「昆虫博士になりたかった堀遼太」という少年がいたことが判明します。この「昆虫博士」の夢を持つ少年こそが、現在浮上している「博士」の正体である線が最も有力です。
博士の役割は、単なる復讐を遂行する犯人という枠を超えています。彼は、かつての仲良しグループから無意識に存在を無視され続けた“透明な存在”という極めて痛ましいキャラクター設定を与えられています。この「無自覚な排除」こそが、彼にとって最も大きな“悪いこと”であり、現在の連続殺人事件という大規模な復讐劇の動機の中核を成していると分析できます。
博士の存在を忘れていた他の同級生たちの中で、ちょんまげ（羽立）が校内掲示板に投稿された「誰も覚えていない」という書き込みに対し、「博士だろ？」と返信した事実は極めて重要です。このやり取りは、ちょんまげが博士の存在をうっすらと記憶している、あるいは過去に博士と特別な接触があったことを示唆しており、彼の今後の行動の鍵を握るかもしれません。
また、事件の協力者として動いていた大谷先生の関与も、博士の正体解明に不可欠です。先生は卒業アルバムから博士の痕跡を隠蔽し、夢の絵のビデオも隠していました。これは、博士の存在を隠し、過去のいじめ問題を「なかったこと」にしようとした先生自身の“悪いこと”と関連しており、その罪悪感や隠蔽が犯人に利用された可能性が高いです。先生は博士の被害者であると同時に、彼を「忘れ去った」共犯者としての側面も持ち合わせています。
博士の正体に関する最も有力な伏線として、堀遼太＝スナックの常連客「今國（イマクニ）」説が熱く議論されています。
共通のモチーフ: 堀遼太の「昆虫博士」の夢と、今國が口にした「ポケモン151匹」という具体的な数字（昆虫や博士の連想）の話題は、あまりにも一致しすぎています。
忘れられた存在の具現化: 同窓会にも参加せず、主要人物たちも気づかない“忘れられた存在”という設定は、今國の地味で目立たない風貌と完全に一致しています。
しかし、多くの視聴者は、この伏線が「ミスリード」である可能性も指摘しています。推理ドラマにおいて、これほど早く、しかも分かりやすいヒントが出されるのは不自然であり、今國が博士の「協力者」または「影武者」である可能性も否定できません。今後の展開として、今國の他にも、事件を捜査している宇都見刑事や、高木に謝罪と告白をした委員長（小林）など、意外な人物が博士、または博士の共犯者として浮上するかもしれません。特に宇都見刑事は、事件の動機に異様な理解を示しており、彼自身も過去に同様のトラウマを抱えている、あるいは博士と共闘している可能性があります。
博士が皆の記憶から消されていたという設定は、このドラマが扱う「いじめ」のテーマをより複雑で深遠なものにしています。多くのいじめが暴力や言葉による「加害行為」に焦点を当てるのに対し、本作は無関心や無視といった“自覚なき排除”、つまり、「いるはずなのにいないものとして扱われる」ことが、どれほど人の心を深く傷つけ、復讐の動機になり得るのかを視聴者に突きつけています。
博士の復讐は、主人公たちがこれまで「カンタローや園子をいじめた」という単純な罪悪感で処理してきた過去の罪と、強制的に向き合わせるという、物語全体に最も強い影響を与えています。彼らにとって、博士の存在を思い出すことは、自分たちが「いじめの加害者」であると同時に、「誰かの存在を否定した加害者」であるという二重の罪を突きつけられることになります。
有力な堀遼太＝今國説の他、物語を複雑にする以下の人物も博士、または共犯者として候補に挙がっています。
宇都見啓（刑事）：事件の捜査側にいながら、犯人の動機（忘れられた存在への怒り）を深く理解しているかのような言動が目立ちます。彼の捜査が時に高木たちを窮地に追い込むのは、事件解決ではなく、犯人側の計画を助けているためではないか、という見方があります。
委員長（小林）：園子への唐突な謝罪、高木への突然の告白、そして過去のいじめを止められなかったという自責の念など、彼女の行動は感情的で不安定です。彼女が博士の復讐に共鳴し、何らかの形で情報提供などの共犯行為を行っている可能性も、視聴者間で議論されています。彼女もまた「いじめを傍観した」という過去の罪に苦しんでいます。
いずれの候補も、過去に高木たちに「忘れられた」、あるいは「見て見ぬ振りをされた」という共通の恨みを持っている可能性が考えられ、博士の復讐が彼らにとっての「正義」となっている側面があります。
過去の事件の鍵は、大谷先生が学校から抜いた「タイムカプセル」と「卒業アルバム」という二つの「記憶の容器」です。特に卒業アルバムには、6人以外の誰か（博士）が黒塗りされていた可能性や、集合写真から意図的に除外された痕跡があり、先生がその事実を隠蔽しようとした結果、犯人から脅迫を受け協力者になったと推測されます。
さらに、タイムカプセルの中身には、博士の夢に関する具体的な情報や、彼がいじめを受けていたことを示す証拠が入っていた可能性があります。先生は、このカプセルを開くことで、過去の負の遺産が露呈するのを恐れていたのです。
博士（堀遼太＝今國説）が最も有力な犯人候補ですが、他の主要人物にも事件への関与、あるいは別の動機での怪しい行動が指摘されています。
| 候補 | 理由 | 補足的な疑念 |
|---|---|---|
| 今國（博士） | 昆虫博士（151匹）の連想。同窓会にいない忘れられた存在。 | 露骨なヒントがミスリードの可能性。彼が「復讐の道具」として使われている可能性。 |
| ターボー（小山） | 高級車の所有者である可能性。ちょんまげを雇うなど怪しい行動。 | 金銭的な動機や、自身の過去の秘密を隠すために事件を利用している可能性。 |
| 宇都見啓（刑事） | 捜査官としての立場を利用し、事件を主導、あるいは情報を流している可能性。 | 犯人に異様な共感を示す言動。彼自身も「良いこと」と「悪いこと」の境界線で揺れている。 |
| ちょんまげ（羽立） | 唯一博士の存在を覚えていた人物。掲示板での書き込み。 | 博士の復讐に利用されている、あるいは協力者として裏で動いている可能性。 |
第5話では、カンタローが襲撃され、大谷先生が脅迫を受け犯人に協力していたことが決定的に明らかになりました。先生が車内で何かに怯えながら去るシーンは、彼が次の被害者になる、あるいは犯人の指示に従い続けるしかないという絶望的な状況を示しており、物語の緊迫感はクライマックスへと向かっています。
主人公・荒木（間宮祥太朗）は、かつて自身が園子を突き飛ばしたいじめの加害者であったという重い過去を背負っています。彼が自身の娘・花音が男子に突き飛ばされるのを目の前で目撃したシーンは、単なる偶然ではなく、加害者と被害者という立場が世代を超えて交差するという、脚本家からの強烈なメッセージです。荒木の過去の「悪いこと」が、現在の復讐劇を引き起こした最大のトリガーであり、彼が娘を守ろうとする行動は、過去の罪を贖罪しようとする苦しい旅の始まりを示しています。
第5話は、主要人物が母校を訪れることで、過去の記憶が次々とフラッシュバックする構成が特徴的でした。
園子のフラッシュバック：備品倉庫に閉じ込められ、ランドセルを奪われた具体的な加害行為だけでなく、クラス全員の無関心の中で孤立していた苦い記憶が、彼女のトラウマをより鮮明にしています。
荒木の目撃：娘・花音が高木に突き飛ばされる瞬間を見て、彼は過去の自分（加害者）と、園子（被害者）の苦しみを同時に重ねます。このシーンは、「悪いことの連鎖」が現在進行形で起きていることを示唆しています。
小林（委員長）の告白と謝罪：小林が園子にいじめを止められなかったことを謝罪し、高木への想いを明かしたことは、彼女自身の「悪いこと」（傍観者であったこと）から脱却し、「過去と向き合う」という点で大きな変化を見せました。
小林が園子へ直接謝罪したことは、主要キャラクターが「過去と向き合う」という点で大きな一歩となり、他のメンバーにも影響を与える可能性があります。また、ちょんまげが「博士」の存在に気づき始めたことは、事件解決に向けた重要な変化と言えます。彼の持つ記憶が、物語の真相解明を急加速させるかもしれません。
第5話で「博士」という具体的なあだ名と「堀遼太」という実名が判明したことで、視聴者の考察熱は最高潮に達しました。特に「どの子」と「ドの子」の2人説が、物語の複雑性を増しています。字幕でカタカナの「ドの子」表記が登場したことから、園子とは別の、いじめの対象となったもう一人の女子、「ド」クターの連想につながる女子が存在した可能性が浮上し、この「ドの子」と「博士」の関係性が今後の重要な焦点となるでしょう。この二人の被害者が共闘している、あるいは博士が二重の復讐を行っているという考察も生まれています。
劇中に登場するネット掲示板「鷹里小の森」は、単なる小道具ではなく、現実の視聴者の考察スレッドを映し出しているメタ的な存在です。特に「誰も覚えていない」という博士の書き込みは、博士が抱える「存在の否定」という深いテーマを象徴しており、視聴者もこの謎を解こうと多くの意見を交換しています。この掲示板に書かれた情報は、事件の真相を示唆するヒントとして機能しており、今後の博士のメッセージにも注目が集まります。
特に意見が分かれているのは、前述の「どの子」と「ドの子」の解釈です。このカタカナ表記は、園子のことではない別の被害者がいることを強く示唆し、物語の被害者が複数いるという残酷な事実を突きつけています。また、今國が本当に堀遼太なのか、それとも復讐劇の「舞台装置」にすぎないのかという点でも、視聴者間の議論は白熱しています。
大谷先生は犯人に殺害されてしまうのか、それとも協力者として生き残るのか？
カンタローは本当に死亡したのか、それとも自作自演、あるいは博士の共犯者として振る舞っているのか？
博士の正体が明かされたとき、彼の復讐の真の目的は、「いじめの加害者への報復」なのか、それとも「忘れ去った人たちへの記憶の植え付け」なのか？
といった、動機に関するより深い予測が飛び交っています。
『良いこと悪いこと』は、人間の罪と記憶、そして現代社会におけるいじめの根深い問題を扱っており、視聴者からの反響も非常に大きいです。このテーマの普遍性と、緻密なストーリー構成は、単なる連続ドラマで終わらせるには惜しいほどの完成度を持っています。もし続編や映画化が実現するとすれば、事件後の主要人物たちの心の行方や、博士の視点から描かれる過去のエピソード、あるいは事件の真相を知った後の社会の反応などが、深く描かれるかもしれません。この深みのあるテーマは、単なるサスペンスに留まらない、倫理的な問題提起を含む展開への期待を持たせてくれます。
博士の「誰も覚えていない」という設定は、この作品のサスペンス性と社会性を飛躍的に高めています。私たちが普段、無意識に見過ごしている「存在の軽視」という行為が、いかに人を深く傷つけ、復讐という極端な行動に駆り立てるのか。博士の存在は、物語の展開をスリリングにするだけでなく、視聴者の心にも「自分は誰かを無自覚に排除していないか？」という強烈なインパクトと自己反省の機会を与えています。
過去の過ちや罪の意識、復讐の是非といった、重く普遍的なテーマを扱っているため、視聴者は主人公たちに感情移入しやすく、「自分だったらどうするだろう？」と考えさせられる点が大きな魅力です。また、オリジナル脚本であるため、視聴者自身が物語の「探偵役」となり、毎週の放送後に考察を深めるという、能動的な楽しみ方を提供しています。この参加型のアプローチが、作品への熱狂的な支持を生み出しています。
原作のないオリジナル脚本であるため、物語に散りばめられた伏線やミスリードのすべてが、脚本家の緻密な意図によって仕掛けられています。公式情報だけでなく、視聴者の考察を読み解くことで、より深く作品の世界観に入り込むことができます。特に、光と影、善と悪といった二項対立的な表現や、登場人物のセリフの裏に隠された真意を読み解くことが、このドラマの醍醐味と言えます。
本作は、かつて小学生時代の同級生6人が集まったところから物語が始まります。22年前にクラスで起きたいじめの過去が、現在の連続殺人事件という形で再燃。復讐の連鎖の中で、登場人物たちが自身の「悪いこと」と否応なく向き合わされるヒューマンサスペンスです。メインテーマは「過去の清算」と「無自覚な加害」であり、視聴者自身の倫理観を試す作品となっています。
主演は、過去のいじめの加害者の一人、高木を演じる間宮祥太朗。いじめの被害者であり、事件に巻き込まれていく園子を新木優子が演じ、物語の中心を担います。その他、森本慎太郎（ターボー）、森優作（ちょんまげ）、松井玲奈（笑美）、水川かたまり（武田）といった実力派キャストが、それぞれ過去の罪を抱えながら、複雑な人間関係と感情の機微を巧みに演じきっています。
本作は原作なしのドラマオリジナル脚本です。そのため、次の展開がまったく予測できず、毎週の放送後に視聴者間で熱い考察が繰り広げられる点が最大の見どころとなっています。緻密な伏線と張り巡らされたミスリード、そして人間の心理の奥深さを描く脚本は、サスペンスとしての質を極めて高いものにしています。
ドラマ『良いこと悪いこと』において、7人目の博士の正体は、物語の根幹を解き明かす上で最も重要な鍵です。彼の存在は、主要人物たちの記憶の欠落という形で、彼らの罪の深さを象徴しています。
現時点では堀遼太＝今國説が極めて有力ですが、これは制作側が仕掛けたミスリードである可能性も残されています。博士の復讐劇を通して、私たちは過去のいじめがもたらす根深い影響や、「誰も覚えていない」という無関心が生む罪の重さを痛感させられます。そして、その罪は決して過去のものではなく、現在の私たちにも問いかけられているのです。
次週以降、博士の正体が明らかになったとき、あなたは誰の“悪いこと”がこの悲劇を引き起こした最大の原因だと考えますか？ それは加害者の行動か、傍観者の沈黙か、あるいは「忘れ去った」という無自覚な排除なのか。