衝撃的な展開が続くドラマ『いいことばかりじゃない、悪いことばかりでもない』。22年前の同窓会をきっかけに始まった連続殺人事件は、いじめの加害者と傍観者を巻き込み、ついに最終局面を迎えます。次々と襲われる元クラスメートたち、そして明かされた新たな被害者の存在は、視聴者に強烈な緊張感を与え続けています。
特に第8話で明らかになった「もう一人のドの子」瀬戸紫苑の存在は、これまでの猿橋園子を巡る考察を根底から覆す大どんでん返しでした。真犯人は、復讐の実行犯なのか、それとも復讐を唆す黒幕なのか。
本記事では、これまでの事件の全容を整理し、真犯人として最も有力な3名の候補（瀬戸紫苑、森智也、猿橋園子）を徹底的に分析します。一体、誰が、何のために、この残酷な復讐劇を仕掛けているのでしょうか？最終回を前に、一緒に真相を考察しましょう。
この事件の根幹にあるのは、22年前にクラスメートたちが遊び半分で作った替え歌の歌詞と、タイムカプセルから出てきた塗りつぶされた卒業アルバムです。犯人は、この替え歌の歌詞に登場するあだ名（キン、メロ、ターボーなど）だけでなく、被害者が小学生時代に描いた「将来の夢の絵」にまでなぞらえた、極めて悪趣味で個人的な手口でターゲットを襲っています。
例えば、武田は「パイロット」の絵になぞらえて突き落とされ、桜井は「消防士」の絵とは対照的に火をつけられて殺害されました。これらの手口は、犯人が当時のクラスの状況や、個々人の夢を非常に詳細に記憶していることを示しています。単なるいじめの復讐ではなく、加害者たちの「未来」や「夢」までも否定し、破壊しようとする強い憎悪が、犯行の裏側にあると断定できます。犯人は間違いなく当時のクラスメート、もしくは彼らのいじめに深い関わりを持つ人物であると断定できます。
事件が始まった当初、標的は猿橋園子をいじめたとされる6人（高木将、小山隆弘、雪子、豊川、小林、猿橋園子自身）だと考えられていました。この「いじめグループ」を狙った復讐と思われましたが、事件は予期せぬ方向へ拡大します。
これまでに犠牲になったのは、武田、桜井、中島笑美（ニコちゃん）に加え、第8話の直前には元担任の大谷先生も遺体で発見されています。ターゲットリストにはない大谷先生が殺害されたことは、犯人の動機が単なる「いじめの復讐」以上の、口封じや過去の隠蔽に関わる可能性を強く示しています。大谷先生は、22年前のいじめの事実や、瀬戸紫苑という「もう一人のドの子」の存在を知る、最も重要な生き証人だったはずです。彼女を殺害することで、犯人は過去の真実を完全に闇に葬り去ろうとしたのではないでしょうか。
事件の根源は「いじめ」であることは明らかですが、被害者の中にはいじめとは直接関係のなさそうな大谷先生が含まれています。また、小林の弟の自殺に猿橋園子の中傷記事が関わっていた事実など、一見無関係に見える因縁が複雑に絡み合っています。このことから、犯人の動機は単なる「加害者への復讐」という範疇を超え、「腐敗した社会や、見て見ぬふりをした傍観者への制裁」へとスケールアップしている可能性があります。
単純な復讐であれば、ターゲット6人を狙うはずですが、被害が拡大していることから、犯人は「いじめに関わった全員」への制裁、あるいは「隠された過去の真実」を暴くという、より大きな目的を持っている可能性があります。特に、犯行の手口が非常に巧妙で計画的であることから、犯人は復讐を遂行するために、複数の協力者を必要としていた可能性も視野に入れるべきでしょう。
第8話のクライマックス、森先生が持ち出したタイムカプセルのDVDには、最後に一人の少女が登場しました。彼女はカメラに向かって「瀬戸紫苑です」と自己紹介し、その映像を見た高木は驚愕し、彼女こそが「もう一人のドの子」だと気づきます。
この新事実は、猿橋園子が「ドの子」としていじめの唯一の被害者であるという共通認識が、クラスメートたちによる集団的な記憶の捏造（または抑圧）であったことを示しています。いじめの被害者が複数いたという事実は、高木たちの罪の重さをさらに深くするものであり、瀬戸紫苑の登場は、物語の黒幕が誰なのかを決定づけるものと言えます。
高木を含む元クラスメートたちが、なぜ瀬戸紫苑の存在を完全に忘れていたのか、あるいは意図的に記憶から消していたのかが最大の謎です。考えられる理由としては以下の3つがあります。
集団的な記憶の抑圧: 罪悪感から、瀬戸紫苑をいじめた事実や、彼女の存在自体を無意識に記憶から消し去った。
学校側の隠蔽: 当時のいじめが深刻すぎて、学校側（大谷先生など）が問題の拡大を防ぐために彼女の存在を秘密にした。
園子との混同: 二人が同じあだ名だったため、クラスメートの記憶の中で、被害者が猿橋園子一人に統合されてしまった。
彼女がいじめの標的だったにも関わらず、クラスメート全員の記憶から抹消されていたとすれば、それは高木たちの「罪の深さ」を物語ると同時に、彼女のトラウマや怨念がどれほど深く、この復讐劇のエネルギー源となっているかを裏付けます。
瀬戸紫苑が真の黒幕、すなわち復讐計画の立案者である場合、動機は極めてシンプルかつ強烈な「復讐」です。
動機: 22年間、いじめの痛みだけでなく、存在すら忘れ去られていたことへの深い絶望と怒り。「自分だけが記憶から消された」という孤独感が、彼女を極端な行動に駆り立てた。
目的: 単なる殺害ではなく、自分をいじめた加害者だけでなく、その事実を無視し、自分を忘れ去ったクラス全員の記憶に、自分の存在を鮮烈な形で焼き付けること。犯行の手口がいちいち彼らの「過去の夢」をなぞる残虐なものであるのも、彼らのアイデンティティを根底から否定するためと考えられます。
彼女が犯人であれば、犯行は一貫した強い憎しみに基づいており、最もドラマチックで筋の通った真犯人像と言えます。
「博士」の正体が、高木の娘・花音の担任教師である森智也だと判明しました。彼は過去のいじめの傍観者であり、タイムカプセルのDVDを所持していました。森は高木に対し、「君たちみたいなクズが生まれないために先生になった」と激しい怒りを露わにし、高木たちの罪を断罪します。
この発言からは、彼が抱える「傍観者としての罪悪感」が強烈な動機になっていることがわかります。彼は、過去の過ちを償うために「いい先生」になろうとしていますが、その根底には、いじめを止められなかった自分自身への深い嫌悪が渦巻いています。教師という立場も、彼にとっては過去の失敗を繰り返さないための、歪んだ自己正当化の手段なのかもしれません。
森は、羽立が殺害される直前に彼を助けることができず、その事実を涙ながらに告白し、「だって僕はいい先生なのに」と語ります。この言葉は、彼が「いい先生」という役割を演じることで、過去の傍観者としての罪（贖罪）を償おうとしていることを示唆しています。
しかし、この自己言及は、彼が自らの正義を絶対視し、高木たちを「クズ」と断罪することで、自らの行動を正当化している証拠とも言えます。彼の感情的な爆発は、殺人犯としての冷徹な計画性とは結びつきにくいため、直接の実行犯ではない可能性が高いでしょう。
森智也は、直接の殺人犯ではない可能性が高まりましたが、共犯者、あるいは黒幕を庇う協力者である可能性が濃厚です。
彼はDVDを回収し、高木たちに「もう一人のドの子」の存在を突きつけました。これは、事件の真相を解明させるのではなく、むしろ高木たちを精神的に追い詰め、過去の罪を思い出させるための行動のように見えます。彼は、真犯人（瀬戸紫苑？）に協力し、真相へと導くための「情報提供者」や「舞台装置」として動いているのかもしれません。彼の教師という立場は、ターゲットの娘である花音に近づき、情報や動向を探る上でも非常に都合が良かったと言えます。
園子は事件の被害者であり、高木と協力して真相を追っていますが、彼女の周辺にも不審な点が多々あります。特に、同僚の東雲は、小林が園子に対する中傷記事を書いた元編集長に情報を提供していたことを高木たちに伝えています。
この一件は、園子を巡る情報戦が繰り広げられており、彼女自身が何らかの「秘密」を抱えていることを示唆しています。さらに、小林の弟の自殺に、園子の「美人すぎる記者」としての記事が関わっていたという事実も、彼女の周囲の因縁を複雑化させています。園子自身が、この事件を自らの目的達成のために利用している側面があるかもしれません。
園子は「どの子」というあだ名でいじめを受け、深い心の傷を負っています。しかし、彼女自身も標的リストに含まれていること、そして事件の真相を追う行動には、どこか矛盾を感じる点があります。
犯人が被害者本人を装い、事件の調査に加わるというパターンは、ミステリーの定番です。彼女の冷静さ、そして高木たちへの協力関係は、犯人としての完璧なアリバイ工作、あるいは、ターゲットを自分の手元に置き監視するための巧妙な戦略である可能性も捨てきれません。特に、瀬戸紫苑という真の被害者の存在が明らかになった今、「唯一の被害者」としてのアイデンティティを失った猿橋園子が、どのような感情を抱いているのかが重要になります。
もし園子が真犯人だった場合、動機は純粋な復讐、もしくは「ドの子」の座を巡る歪んだ執着心です。
動機（単独犯）: いじめの被害者としてではなく、「裏切り者」としてターゲットを裁くため。
動機（協力者）: 瀬戸紫苑という真の被害者の存在を知り、彼女の復讐計画に協力している、あるいは黒幕に仕立て上げられている可能性も考えられます。園子は、いじめの経験から、高木たちへの憎しみを抱きつつも、自らの手を汚さずに制裁を加える手段を選んだのかもしれません。あるいは、もう一人の被害者である紫苑に対し、複雑な嫉妬や共感を抱き、事件を主導している可能性もあります。
これまでの情報を総合的に考えると、真犯人は一人の人間ではなく、複数犯や共犯によって事件が実行されている可能性が最も高いと言えます。
真の黒幕（精神的支柱）: 瀬戸紫苑。彼女の「忘れられた」存在感が、復讐計画の根源であり、犯行の動機と手口を決定づけた。
実行犯（物理的制裁）: 瀬戸紫苑に深い共感を覚える第三者、あるいは彼女が過去に接点を持った人物。小林が弟の復讐のために実行役を担っている可能性も高い。
情報提供者/誘導役: 過去に傍観した罪を償いたい森智也。彼はDVDや花音を通じて、高木たちを真犯人の計画通りに誘導する役割を果たした。
瀬戸紫苑の強い怨念と、森智也の歪んだ正義感、そして園子のトラウマが絡み合い、それぞれの動機が複雑に組み合わさってこの事件が展開していると推測されます。誰か一人が全ての犯行を担うよりも、複数の人物がそれぞれの因縁に基づいて協力し合う方が、ドラマのテーマである「いじめの連鎖と罪の共有」を深く描き出すことができるでしょう。
事件の真相解明には、まだ掘り下げられていない登場人物にも注目が必要です。
小林: 彼の弟の自殺は、園子に対する強い復讐の動機となり得ます。彼が瀬戸紫苑の存在を知り、復讐計画の実行役となった可能性は十分に考えられます。
イマクニマスター: 常に高木たちの中心にいるスナックのマスターは、ただの傍観者ではないかもしれません。彼自身が過去のクラスメートで、何らかの重要な秘密を握っている「隠された情報源」である可能性も否定できません。
最終回では、以下の3点が最大の注目ポイントとなるでしょう。
瀬戸紫苑の行方と真実: 彼女は本当に犯人なのか、それとも高木たちに真実を伝えるために現れたのか？もし彼女が黒幕なら、彼女が最も恐れている「忘れられること」を防ぐために、どのような結末を選ぶのか。
大谷先生殺害の真相: 大谷先生が隠していた「過去の罪」、すなわち瀬戸紫苑のいじめを黙認した事実や、その後の転校に関する決定的な隠蔽を、犯人はどのように暴こうとしているのか。
高木たちの「贖罪」: 過去のいじめと真摯に向き合い、彼らが最終的にどのような結末を迎えるのか。特に高木の娘・花音が森先生や事件に巻き込まれたことで、彼がどのような「父親としての責任」を果たすのかが、物語のテーマを決定づけるでしょう。
ドラマ『いいことばかりじゃない、悪いことばかりでもない』の真犯人考察は、「もう一人のドの子」瀬戸紫苑が最有力候補として急浮上しました。彼女の存在は、いじめの加害者たちの罪が、彼らが認識していた以上に深かったことを示しています。
最終回では、瀬戸紫苑の動機と、森智也、猿橋園子らがどのように関わってきたのか、すべてのパズルのピースが揃うことになりそうです。この復讐劇の裏に隠された、いじめの根深い闇と、傍観者たちの罪がどのように裁かれるのか、視聴者として、最後まで目が離せませんね！