「メルカリでハンドメイド販売が禁止になった」という噂を聞いて、不安を感じているクリエイターの方も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、メルカリでハンドメイド販売は原則として禁止されていません。しかし、特定の手法やルール違反が原因で、出品が禁止されたり、アカウントが停止されるケースがあるため、このような誤解が生まれています。
この記事では、メルカリにおけるハンドメイド販売の真実と、安心して販売を続けるための具体的な対策について、メルカリの現行ルールを元に徹底解説します。
メルカリは、個人間の不用品の売買を主な目的としていますが、個人が趣味の範囲で制作したハンドメイド作品を出品することは認められています。これは、作品を通して個人の「創作の喜び」を共有し、対価を得るという健全な文化をメルカリが支持しているためです。
ただし、以下の行為はメルカリの利用規約およびガイドラインで厳しく規制されており、違反すると出品削除や利用制限の対象となります。これらの規制は、ユーザーの安全と公正な取引環境を守るために設けられています。
特に、著作権侵害については誤解が多く、後ほど詳しく解説します。
メルカリには、個人間取引の「メルカリ」とは別に、事業者向けの「メルカリShops(メルカリショップ)」があります。
ハンドメイド作家として、販売規模が拡大し、事業として継続的な収益を得るようになった場合、メルカリShopsへの移行が強く推奨されます。個人アカウントで「プロ並みの出品数」や「大量の仕入れ」が確認された場合、メルカリ側から「営利目的の利用」と判断され、指導が入る可能性があるため注意が必要です。メルカリShopsへ移行することで、胸を張ってビジネスとして販売でき、よりプロフェッショナルな顧客対応が可能になります。
「せどり」(転売・仕入れ販売)とハンドメイド販売の大きな違いは、商品の付加価値がどこにあるか、そして出品者自身の労力と創造性が介在しているかという点です。
ハンドメイド作品は「自分で制作したオリジナル作品」として位置づけられるため、単なる転売禁止の規制には当たりません。しかし、販売が事業規模に達すると、前述の通り「商業活動」として見なされる可能性がある点は共通しています。特に、個人アカウントで「既製品をリメイクしただけのもの」を大量販売する場合など、付加価値が低いと判断されると、転売行為に近いと見なされ注意を受けるリスクが高まります。
メルカリ ハンドメイド禁止の噂が広がる最大の原因は、「著作権・商標権侵害」、そして「商業活動とみなされた際の法令遵守の不足」です。
ハンドメイド販売において最も危険で、かつ禁止の対象になりやすいのが、知的財産権の侵害です。これは、知らず知らずのうちに他者の権利を侵害してしまうリスクが非常に高いためです。
侵害となる具体的な事例 | 違反の対象となる権利 | 深刻度と対策 | ||||||
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キャラクター生地、ブランドロゴ、アニメの絵柄を無許可で使用した作品の制作・販売 | 著作権、商標権 | 最も深刻。特に人気キャラクターは権利者が常に監視しており、即座に出品削除・アカウント停止に繋がります。 | ||||||
有名ブランドのデザインや形状をそっくりそのまま模倣した作品の制作・販売 | 商標権、意匠権、不正競争防止法 | 訴訟リスクあり。「似ているがロゴはないから大丈夫」という考えは危険です。 | ||||||
有料で販売されている市販の型紙やレシピを無断で複製・利用した作品の販売 | 著作権 | 型紙自体に著作権が発生します。販売前に型紙の「商用利用可否」を必ず確認する必要があります。 | ||||||
パロディやオマージュと称して、既存の作品に酷似したデザインを制作・販売 | 著作権、不正競争防止法 | パロディも法的には著作権侵害と判断される可能性が高いです。完全なオリジナル以外はリスクが高いと認識すべきです。 |
「個人的に楽しむ目的」での利用は著作権の例外規定(私的複製)に含まれますが、「販売」して対価を得る行為は完全に営利目的となり、原則として権利者の許諾が必要です。また、世間でよく言われる「キャラクター生地を使った二次創作は黙認されている」といった話は、法的には何の根拠もありません。権利者が訴えを起こせば、高額な賠償責任を負う可能性があります。
メルカリでの販売活動が継続的かつ大規模になり、年間の所得(売上から経費を引いた利益)が一定額を超えた場合、税法上の「事業所得」または「雑所得」として確定申告が必要です。
項目 | 詳細 | 懸念されるリスク | ||||||
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税務上の登録 | 所得が年間20万円(給与所得者の場合)を超えた場合、確定申告が必要。専業の場合、事業規模によって開業届の提出(任意だが推奨)を検討。 | 申告漏れによる追徴課税。 | ||||||
特定の許認可 | 食品(菓子、パン、ジャムなど)、化粧品(石鹸、バスボムなど)、薬事法関連、特定の危険物などをハンドメイドで販売する場合、各法律に基づいた営業許可や資格が必須。 | 法令違反による罰則や行政指導。 |
これらの許認可がない状態で販売を行った場合、メルカリのルール以前に法令違反となり、当然ながら出品禁止やアカウント停止の対象となります。特に、食品や化粧品は、衛生管理や成分表示に関する厳格な基準があるため、販売を検討する際はまず地域の役所に相談することが重要です。
メルカリでは、個人アカウントでの大量出品や、販売を目的とした仕入れ(ハンドメイドの場合は原材料の大量購入)が継続的に確認されると、商用アカウント(メルカリShops)への移行を求められることがあります。
この線引きは明確ではありませんが、以下の要素が複合的に判断されます。
個人アカウントを維持したい場合は、販売規模を抑え、「不用品の販売」というメルカリの原則から逸脱しない範囲での活動が賢明です。営利目的での利用が疑われた場合、事務局からのヒアリングや警告が入ることを覚えておきましょう。警告を無視し続けると、最終的にアカウント停止につながります。
メルカリ ハンドメイド禁止のリスクを避け、作家活動を継続的に行うために、販売者は常に以下の対策を意識する必要があります。
メルカリでのオーダー販売自体は可能ですが、トラブルや禁止行為に繋がりやすいため、慎重に行う必要があります。
ハンドメイド販売をビジネスとして本格化させたいのであれば、個人アカウントの限界に到達する前に、早めに以下の移行策を検討しましょう。
現在、多くの人気ハンドメイド作家は、販売プラットフォーム(メルカリ、minneなど)とSNS(Instagram, X, TikTokなど)を連携させています。これは、SNSが集客とブランディング、メルカリが決済と発送を担うという役割分担です。
SNSは、作品の制作過程や、作家自身の世界観を伝える場として最適です。特に動画コンテンツ(リール、TikTokなど)は、静止画よりも作品の魅力や質感、サイズ感を伝えやすく、高い集客効果が期待できます。フォロワーが増えることで、販売開始と同時に作品が売れる仕組み(即完売)を作り出すことが可能になり、メルカリ内の検索順位だけに頼らない販促戦略が実現します。
長期的に安心して販売を続けるためには、「ルール遵守」と「差別化」が鍵となります。
今後、メルカリを含むフリマアプリ全体で、商用利用に対する規制はより厳しくなると予測されます。これは、グローバルなeコマースの動向や、消費者保護の観点から必然の流れです。
これらの変化に対応するためにも、作家は「いつかは事業化する」という意識を持ち、収支を明確にし、個人取引と商業活動の線引きを準備しておくことが重要です。会計ソフトの導入や、税理士への相談も視野に入れるべきでしょう。
禁止を避けるだけでなく、「売れる」作家になるために、以下の条件を意識しましょう。
出品する前に、以下の項目を必ずチェックしましょう。このチェックリストをクリアできない場合は、出品を見送るか、メルカリShopsへの移行を検討すべきです。
チェック項目 | Yes/No | 対策(Noの場合) | ||||||
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著作権・商標権を侵害していないか?(キャラクター、ブランドロゴ、市販型紙の無断利用はないか) | デザインを完全にオリジナルに変更する。 | |||||||
法令に基づく許認可が必要な商品ではないか?(食品、化粧品、特定の機器など) | 行政機関に相談し、必要な許可を取得する。 | |||||||
メルカリ外の連絡先や決済方法に誘導していないか? | 全てのやり取りと決済をメルカリ内で完結させる。 | |||||||
不用品の販売の範囲を超えた、継続的かつ大規模な商業活動になっていないか? | メルカリShopsへの移行、または出品量を調整する。 |
メルカリでハンドメイド販売は禁止ではありません。しかし、著作権・商標権の侵害と商業利用の度合いが、アカウント停止につながる主要なリスクです。
安心してクリエイティブな活動を続けるために、完全なオリジナル作品の制作を心がけ、販売規模が拡大したらメルカリShopsや他の専用プラットフォームへの移行を検討しましょう。ルールを正しく理解し、賢くメルカリを活用することで、あなたのハンドメイド作品は多くの人に届くはずです。