「テレビCMで流れる芸能人のリフティング、本当に本人がやってるの?」
そんな疑問を抱いたことはありませんか?テレビの大画面やスマートフォンのタイムラインでふと流れてくる、有名タレントたちによるプロ並みの足技。特に、三井不動産のCMで東京・日本橋を舞台に華麗なリフティングやトラップを魅せる広瀬すずさんと、タウンワークのCMで煌びやかな衣装をまといながら軽快にボールを操る「マツケン」こと松平健さんの姿は、あまりのクオリティの高さにネット上でも「ガチなの?」「それとも全部CG合成?」と大きな議論を巻き起こしました。
「あんな難しい技をあの衣装でできるわけがない」「いや、あの人なら本当にやりかねない……」など、視聴者の見方はさまざまです。
この記事では、公開されている制作の舞台裏、公式インタビュー、広告業界の裏事情、そして当事者たちの口コミなどの情報をもとに、2人のCMリフティングにおける「驚きの真相」を隅々まで徹底検証します!
三井不動産の「三井のすずちゃん」シリーズ。その中の「スーパープレイ」篇などで、ブルーを基調とした爽やかなユニフォーム風のコーディネートに身を包み、サッカーボールを自由自在に操る広瀬すずさん。その動きはまさにプロのフットバラー顔負けですが、果たして彼女は本当に撮影現場でボールを蹴り、あの軌道を生み出しているのでしょうか?
このCMで広瀬すずさんが披露しているのは、ただのポンポンと蹴り上げるリフティングだけではありません。 日本橋の街を歩きながらボールをキープし、さらにはかかとを使ってボールを頭上に跳ね上げる「ヒールリフト」を繰り出し、日本橋の麒麟像の上空へボールをパス。その後、コレド室町テラスのエスカレーターに乗る彼女が、流れてきたボールを吸い付くような「胸トラップ」でピタリと受け止めるという、サッカー経験者でも顔を青くするようなスーパープレイのオンパレードです。さらには、元日本代表キャプテンであり現日本サッカー協会(JFA)会長の宮本恒靖さん(宮本のツネさん)まで登場し、異次元のパス交換を繰り広げます。
このCMが放映されるやいなや、SNSやネット掲示板では驚嘆と疑念が入り混じった声が同時に湧き上がりました。
「広瀬すず、サッカーまでできるの!?運動神経が良すぎるなんてレベルじゃない!」
「さすが学生時代にバスケットボール部に所属していただけあって、体幹のブレなさが半端ない」
「いや、いくらなんでもボールの吸いつき方や軌道が綺麗すぎて、物理法則を無視しているように見える。CGじゃない?」
映画やドラマで過酷なアクションや役作りをこなしてきた彼女ですが、これほど完璧なサッカースキルまでもマスターしたのかと、多くの視聴者がテレビ画面に釘付けになりました。
結論から言うと、三井不動産のCMにおける広瀬すずさんのリフティングシーンは、「グリーンバックのスタジオで、ボールがない状態で行われたモーション(動き)だけの撮影(エアリフティング)」であり、背景の街並みとサッカーボールは後処理による精密なCG・合成技術によって作られています。
実際の撮影現場には、サッカーボールは存在していません。広瀬さんはスタジオに用意されたグリーンバック(合成用背景)の中で、「ここにボールがある」と頭の中でシミュレーションしながら、足や胸、頭のタイミングをミリ秒単位で合わせる「パントマイム」のような非常に高度な演技を行っていました。
このエア演技に対して、ハリウッドのSF映画などでも使われる最先端の3Dグラフィックス技術(VFX)を導入。彼女の関節の動き、足の角度、踏み込むタイミングを完璧にトラッキング(追跡)し、それに合わせて「本物と見分けがつかないサッカーボール」を後からレンダリングして合成しているのです。
検証結果:モーションは本人、ボールと背景は「後処理(高度なCG・合成)」
「なんだ、実際には蹴っていなかったのか」とがっかりする必要はまったくありません。なぜなら、「何もない空間で、あたかも重さのあるボールが存在しているかのように体を動かす」という演技は、実際にボールを蹴るのと同じ、あるいはそれ以上に難しいからです。
トラップした瞬間の体の反動、ボールの重さを受け止める膝のクッション、ボールの軌道を目で追う視線誘導など、彼女の卓越した表現力と「元バスケ部」として培われた抜群の体幹の強さがあって初めて、このVFXは「本物」として成立しました。CG技術と彼女の一流の演技力が融合したからこそ、誰もが騙される美しい映像美が完成したのです。
一方、リクルート「タウンワーク」のCM「スポーツショップバイト」篇で、お馴染みのまばゆい金色衣装(マツケンサンバのスタイル)を身にまとい、スポーツショップの店内に突如現れて見事なリフティングを披露している「マツケン」こと松平健さん。
バイト店員役の今田美桜さんがスパイクを磨いている横で、試し蹴りコーナーに乱入し、リズミカルにボールを弾ませ、最後は華麗なインステップキックで今田さんにパスを送ります。この年齢を感じさせない足技の真相はどうなのでしょうか?
CM内での松平健さんは、満面の「マツケンスマイル」を浮かべながら、右足、左足、さらには膝(太もも)を使って、リズミカルにボールをコントロールしています。
リフティング自体が難しいだけでなく、彼が身につけているのは動きが制限されるド派手な和装の衣装。さらに足元はスニーカーではなく、底が平らで硬い特製のブーツのような履物です。この極めて不安定なコンディションの中で、涼しい顔をして連続リフティングをこなす姿には、ネット上でも「さすがにこれはおじいちゃん(失礼!)には無理だし、100%合成だろう」という冷ややかな意見が大半を占めていました。
しかし、この疑念を引っくり返す驚くべき事実が、撮影の舞台裏や公式インタビュー、制作関係者の口コミから明らかになっています。
なんと、タウンワークCMにおける松平健さんのリフティングは、一部の補助演出を除き、基本的に「本人が実際にボールを蹴って行っているリアルなリフティング」なのです。
インタビューによると、松平健さんは「実は学生時代、サッカー部に所属していた」という意外な経歴の持ち主。本人いわく「当時はキーパーだったので、あまり足元のリフティングは練習していなかった」と謙遜されていますが、サッカーの基礎的なボール感覚や身体への染み付き方は、やはり未経験者のそれとは一線を画しています。
検証結果:本人が実際に現場で蹴っている(ガチ!)
もちろん、CMとして完璧な映像をつなぎ合わせるための細かいカット割りや編集上の補助はあるものの、実際にあの金ピカ衣装を着用し、現場でボールを落とさずに蹴り上げていたのは松平健さん本人です。
松平健さんといえば、長年にわたり時代劇の第一線で主役を張り続け、舞台の上で激しい「殺陣(たて)」をこなしてきたレジェンド。殺陣に必要なのは、コンクリートのように強靭な足腰、瞬時の重心移動、そして敵との距離を測る「空間把握能力」です。70代を迎えても衰えない体幹の強さと、長年の舞台で培われた抜群のバランス感覚があったからこそ、あの衣装でのリフティングという神業が可能となりました。
「本物が醸し出す熱量」があるからこそ、今田美桜さんの絶妙な引き気味のリアクションとも見事にマッチし、シュールで説得力のある大人気CMとなったのです。
スポーツを題材にしたCMを見る際、私たちがどうしても「本当に本人がやってるの?」と一歩引いて疑ってしまう背景には、現代のメディア環境や制作現場ならではの、いくつかの明確な理由があります。
現代のポストプロダクション(映像編集・加工)技術は、肉眼では「リアル」と「バーチャル」の境界線を100%見分けることが不可能な領域に達しています。 ボールが足に当たった瞬間の微細な変形、ボール表面の革の質感、周囲の照明が反射する光の移り変わり、空気抵抗によるブレ、芝生や床に落ちる影の濃淡まで、物理演算シミュレーションによって完璧に再現可能です。映像のクオリティが上がれば上がるほど、人間の脳は逆に「出来すぎていて不自然だ」と防衛本能的な疑いを抱くようになります(これはCG業界で『不気味な谷現象』とも呼ばれます)。
超人気タレントや俳優をCMに起用する場合、彼らのスケジュールは分単位で管理されており、撮影に割ける時間はほんの数時間ということも珍しくありません。リフティングが成功するまで何百回もテイクを重ねる時間的余裕はないのです。
さらに決定的なのが「怪我のリスク管理」です。万が一、アスファルトやスタジオでリフティングに失敗して転倒し、タレントが骨折や捻挫などの大怪我を負ってしまった場合、現在進行中のドラマや映画の撮影がすべてストップしてしまいます。その場合の損害賠償額は数千万円から数億円規模にのぼることもあります。広告代理店や制作会社としては、安全かつ確実に、狙い通りのハイクオリティな映像を作るために、グリーンバック+VFXを選択するのが実務上の「正解」となるわけです。
どうしても映像が「ガチ」か「演出」かを見分けたい場合、以下の3つのポイントに注目すると、裏側の技術が見えてきます。
足元とボールの「接触点(インパクト)」: 足がボールに触れる瞬間、靴の生地がボールの圧力でわずかに凹むか、あるいはボールの影が足の甲に自然に落ちているか。CG合成の場合、ここがわずかに浮いて見えることがあります。
重心の移動と踏み込みの深さ: 実際のボールを蹴る際、人間はボールの重さや衝撃に抗うために、軸足(地面に着いている足)を深く踏み込み、重心を不規則に移動させます。エアリフティングの場合、軸足の動きが軽すぎたり、重心がピタッと静止しすぎている傾向があります。
目線の「追従速度」: 人間の目は、動くボールの軌道を無意識に追いますが、微小な予測のズレによって、目線がコンマ数秒遅れたり揺れたりします。CG合成の場合、目線がボールの軌道と「寸分の狂いもなく完全にシンクロ」しすぎていることがあり、これがかえって不自然に見える要因になります。
今回の広瀬さんや松平さんに限らず、日本の芸能界には、視聴者を本気で驚かせる「ガチ」のサッカー経験者やリフティングの達人たちが多数存在します。
お笑い界や俳優界には、少年時代からユースチームに所属していたり、高校サッカー選手権を目指して汗を流した超実力派が揃っています。
ペナルティ(ワッキーさん・ヒデさん): 言わずと知れたサッカー名門・市立船橋高校サッカー部の先輩・後輩。ヒデさんはJリーグのスカウトからも声がかかるレベルだったと言われており、彼らのバラエティ番組で見せるボールタッチは本物のプロ仕様です。
パンサー(尾形貴弘さん): サッカーの名門・仙台育英学園高校で10番を背負い、中央大学でもサッカー部に所属。彼の泥臭くも圧倒的に高い技術力は、現在の芸風(?)とのギャップもあり、しばしば動画でバズっています。
竹内涼真さん: 東京ヴェルディのユース(下部組織)に所属していたという、輝かしい経歴を持つ俳優。身長185cmの恵まれた体躯から繰り出されるダイナミックなボールコントロールは、映画やドラマのアクションシーンでも遺憾なく発揮されています。
近年はYouTubeやTikTok、Instagramの普及により、テレビCMのように「編集された映像」ではなく、編集の手が入らない「一発撮り」や「ライブ配信」でその実力を証明するタレントが増えています。 女優の野村周平さんや、タレントの眞鍋かをりさんなども、SNSでさらりと高度なトリックを披露してファンを驚かせました。こうした「生映像」コンテンツはCGの疑いようがないため、本人の純粋なフィジカル能力を証明する最高のブランディングツールとなっています。
海外の事例では、過去にナイキやアディダスといったスポーツブランドのCMで、プロ選手たちが披露した「人間離れした神業」が、本当にCGなしで撮影されたものだったとして大きな話題を呼びました。 例えば、ロナウジーニョ選手がピッチ外からシュートを打ち、何度も連続でクロスバー(ゴール上の枠)に当てては跳ね返ったボールをトラップし続けるCM。当時「絶対にCGだ」と世界中で大論争が巻き起こりましたが、後に「ノーカットで実際に成功させた奇跡のテイクがベースである」と証明され、伝説となりました。リアルな挑戦が持つ「奇跡の瞬間」は、どれだけ技術が進歩しても人の心を最も激しく揺さぶるコンテンツです。
CMにおけるスポーツシーンを評価する際、「本人が実際にやっているから偉くて、CGを使っているから手抜きだ」という二元論で語る必要はありません。両者にはそれぞれ、異なる素晴らしいエンターテインメントの価値があります。
三井不動産のCMは、広瀬すずさんの洗練された美しさと、スタイリッシュに開発された都市景観を完璧にシンクロさせる、ひとつの「映像芸術作品」です。 もしこれをリアルのロケ撮影だけで行おうとすれば、通行人の整理、日本橋の交通規制、さらには天候や風などの自然条件に左右され、ここまできれいで無駄のないカットを撮影することは不可能でしょう。グリーンバックと最高峰のVFXを駆使することで、「現実を超えた理想的な美の世界」を創り上げ、企業が目指す「先進的で活気のある街づくり」というメッセージを直感的に伝えているのです。
一方でタウンワークのCMは、「松平健さんが、あの重くて派手なマツケンの格好をして、実際に一生懸命ボールを落とさないように蹴っている」というドキュメンタリーとしての事実そのものが、最大のエンタメコンテンツとなっています。 完璧な軌道ではなく、どこか人間味のある、それでいて凄まじい体幹から繰り出されるリアルなリフティング。これを目にした視聴者は、言葉にできない熱量やコミカルさ、そして「マツケンさん、すごい!」という素直な元気と笑顔を受け取ることができます。これは広告の好感度を上げる上で、極めて高いマーケティング効果を持っています。
「ねえ、あのCMのリフティングって本当に本人がやってるのかな?」と、翌朝の学校や職場で誰かと話したくなる。その現象自体が、CMプランナーやクリエイターたちにとっての「大勝利」を意味します。 視聴者が抱く疑問や好奇心、そしてそれを解き明かそうとするバイラル(口コミ)効果こそが、企業の認知度をさらに高めるエンジンとなるのです。
今回は、三井不動産とタウンワークの人気CMにおけるリフティングシーンの裏側に隠された、驚きの真相に迫りました。
広瀬すずさん(三井不動産): グリーンバックスタジオでの高度な「エア演技(パントマイム)」と、最先端VFXによる精密なグラフィックスが融合した「究極の映像エンターテインメント」。
松平健さん(タウンワーク): 学生時代のサッカー部経験と、長年の舞台・殺陣で鍛え抜かれた驚異のフィジカルを遺憾なく発揮した、まさかの「リアル身体能力勝負(ガチ)」。
最新技術の粋を集めて非現実的なまでの美しさを追求した「魅せるアート」と、演者本人の肉体の強さとキャラクター性でストレートに勝負した「泥臭くも華やかなリアル」。
この表現アプローチの対比を知ると、普段何気なくスキップしたり聞き流したりしているテレビCMやWeb広告が、もっと奥深く、クリエイティブなものに見えてくるはずです。今度テレビからこれらのお馴染みのメロディが流れてきたときは、ぜひ彼らの「足元」や「視線」、そしてカメラの「アングル」に注目して、映像の奥にあるドラマを楽しんでみてくださいね!